COTTON DAY 2019

「5月10日は、コットンの日」

COTTON DAY 2019



 
 第24回 「コットンの日イベント」を開催

 国際綿花評議会(CCI)は、5月10日に「コットンの日」を記念した催しを東京で開催しました。当日は、この日のために来日したハンク・ライクリー会長と綿花生産者のマーシャル・ハードウィック氏によるCOTTON USAの最新情報やサステナビリティ、トレーサビリティへの取り組み紹介など、
4つのセミナーを行いました。次いでアメリカ綿の新機能を紹介した「WHAT’S NEW IN COTTON™」の披露、「COTTON USA AWARD 2019」の授与式などを実施。さらに「Tシャツ・プリント・デザイン・コンテスト2019」の表彰式も行われました。
 第2部のレセプションでは、業界関係者など約300名が一堂に集い、華やかなイベントとなりました。




「COTTON USA:高品質でサステナブル、トレーサブルなコットンのパートナー」
ハンク・ライクリー国際綿花評議会会長が講演


 
「サステナブルで優れた品質のアメリカ綿」
 アメリカ綿は、17州にまたがるコットンベルトと呼ばれる地域で、約18,500軒の農家によって生産されています。過去2年間の生産はとても好調で、2019/20綿花年度は、天候が順調であれば大幅な増産が見込まれています。   
 品質においても常に改善され続け、向上しています。COTTON USAでは、継続的に時間と資金、努力を投資することで、異物混入のない高品質な綿花を生産し続けています。
 現在、世界最大の輸出国として毎年25か国以上に輸出していますが、COTTON USAは日本の紡績会社や製造業者のニーズを満たす多種類の綿花を、安定供給できるよう日々たゆまぬ努力を続けています。

「コットンの高い生分解性とサステナビリティ性を紹介」
 マイクロファイバーは、洗濯のたびに発生する微細繊維で、全ての繊維から発生し毎回の洗濯で何百万という微粒子が廃水中に放出されます。その一部は廃水処理場でろ過されますが、多くは河川から海へと流れ込み、昨今のマイクロプラスチック海洋汚染問題を引き起こしています。
 ノースカロライナ州立大学天然資源学部が行った研究では、「綿は高い生分解性があり、他の繊維と比較して分解が速いこと」が発表されました。調査では、綿100%、ポリエステル100%、レーヨン100%、ポリエステル50%/綿50%混紡の4種類について、マイクロファイバーの生成量と水中での生分解性についての実験が8か月間行われました。結果は、コットンは他の繊維に比べて多くのマイクロファイバーを発生させるものの、水中で最も分解されることが実証されました。各マイクロファイバーの水中での生分解率は、綿76%、レーヨン60%、ポリエステル/綿混40%、ポリエステル4%でした。
 コットンは、製品のライフサイクルの初めから終わりまで、環境にもビジネスにとっても良い選択肢となります。



「Oritainと協働で高いトレーサビリティ性を実現」
 多くのアパレルや小売は、原材料を信用して使いたい、環境や社会の国連規格への準拠を確保するために、サプライチェーン全体で原材料を追跡できるようにしたいと考えています。
 そのようなニーズに応えるべくCOTTON USAが導入したのは、法科学を用いて原産地を判定する「ORITAIN(オリテイン)」のシステムです。2008年に設立された同社は、製品固有の内なる特徴に注目して科学的に原産地の追跡を行い、サプライチェーンのどの段階でも検査が可能な、高い透明性を確保する仕組みを構築しました。
 すでにスーピマ綿は産地を完全マップ化しており、100%のトレーサビリティを提供可能で原産地証明を提供できます。アプランド綿についても、 2020年中に本格展開の予定です。COTTON USAは「品質、サステナビリティ、トレーサビリティ」の世界的リーダーになることを約束します。


アメリカ綿のサステナビリティ性とU.S.コットン・トラスト・プロトコル」
綿花生産者マーシャル・ハードウイック氏が講演


 
 アメリカ綿作農家は、常にサステナブルで責任ある綿作を行い、栽培や労働環境、作物についての厳しい法の監視のもと、業界全体で人にも地球環境にも配慮した、安全で持続可能な綿花生産体制を整えています。
 1981年から2015年の35年間にわたり、土地利用31%、土壌侵食44%、水利用82%、エネルギー使用38%、温室効果ガス排出30%の「環境負荷の削減」を達成しました。そしてこの環境負荷をさらに軽減するために2025年までに達成する目標値を設定し、その目標達成状況を検証するため「U.S.コットン・トラスト・プロトコル」を策定しました。2019年から試験運用し、2020年から本格運用する同プロトコルは、農場レベルで参加するプログラムです。土壌の状態や水利用、植物保護製品の使用、公正労働など9つのカテゴリー、120の質問項目についてデータを入力しなければなりません。そして無作為に選ばれた農場は、第三者機関の諮問を受け検証が実施されます。未来のために継続的な向上を推進するよう、日々積極的に改善し変化しながら綿作に取り組み続けていきたいと思います。


「ボルテックスとサステナビリティ」
村田機械株式会社VORTEXプロダクトマネージャー森昭二氏が講演



 
 ムラテックが開発したボルテックス精紡は、空気の旋回流で糸を紡ぎだす独自技術です。その糸は、毛羽が少なく、抗ピリング性、吸水拡散性、対洗濯性に優れており、ファッション界に新たな潮流を生みつつあります。
 講演では、その生産工程におけるサステナビリティ性を紹介。従来のリング精紡機なら粗紡、精紡、巻取り3工程で8日かかるところ、ボルテックスは、スライバーからそのまま精紡して巻き取るので1工程のみ3日に大幅短縮する点や、清掃時間もリング精紡機が10~18時間なのに対し、ボルテックスは5時間と短く操業時間も時短化。ロス削減で小ロット多様化に対応でき効率アップし、大きなアドバンテージにつながる点などが説明されました。森氏は、「原料、糸、工程、製品のそれぞれがサステナブルなボルテックスを、高付加価値製品の開発に役立ててほしい」と締めくくりました。


「サプライチェーン各行程で、高品質な綿医療を低コストで納期通りに出荷するには」
国際綿花評議会技術コンサルタント ロジャー・ギルマーティン氏が講演


 「アメリカ綿は製造の全ての行程で廃棄物が少なく、高品質で不良品が少ない。また生産性が高く労働効率がよい。納期遵守などの面でも全てを満たしている。アメリカ綿を使う真のメリットは最終コストの低下につながることだ」と、実証実験をもとに解説。
 さらに「安価な綿花購入はコスト削減につながらず、価格本位で綿花を購入すると最終的に非常に高くついてしまうことになるかもしれない」と言及しました。


最新の「WHAT’S NEW IN COTTON™ (コットンの新機能)」を披露

 

WHATS NEW IN COTTON™」は、国際綿花評議会(CCI)がアメリカ綿を使った革新技術を紹介する販売促進プログラムです。技術、ファッション、ブレンド、プロセスなど、あらゆる分野で柔軟な発想と新しいアイデアを取り入れた綿製品を紹介しています。会場では、アメリカ綿リッチ製品に高機能を付与した8社の新機能素材がショー形式で披露されました。


Tシャツ・プリント・デザイン・コンテスト2019表彰式

 グランプリ作品の発表と表彰が行われ、藤田晴哉日本紡績協会会長から、
受賞者の岡本麻衣子さんに賞状と賞金が授与されました。

 
藤田晴哉日本紡績協会会長(左)と
グランプリ受賞者の岡本麻衣子さん(右)
2019年度入賞作品のご紹介


吉田沙保里さんが「COTTON USA AWARD 2019」を受賞
 国際綿花評議会(CCI)が 5 月 10 日の「コットンの日」を記念して、2004 年から毎年開催している「COTTON USA AWARD 2019」。16回目の今年は、明るい笑顔と自然体で暖かみのある人柄や、常に全力で新しいことに取り組む姿勢がCOTTON USAの世界観に重なることから、タレントの吉田沙保里さんに授与しました。
 
グリーンのコットン・ドレスで登場した吉田沙保里さん
 国際綿花評議会のライクリー会長から楯とコットン・ブーケを受け取った吉田さんは、「現役時代ではいただけなかった賞なので大変光栄です。私にとってコットン製品は日常生活になくてはならない存在です。今日の衣装ももちろんコットン製で、着心地も最高です。現役時代にアメリカ遠征した時には、アメリカ綿製のタオルをよく使っていましたが、肌触りや吸収力がすごくいいので好きでした。引退してからは、いろいろな服を着るようになり、リラックスしたい時にはよくコットンの服を着ています」と喜びを語り、「これからもコットンを愛用しながら、自分の目標に向かってがんばっていきたい」と挨拶しました。
 【プロフィール】
1982年生まれ、三重県出身。2002年、世界選手権に初出場初優勝し、2015年大会まで13連覇。五輪ではアテネ大会からロンドン大会まで3連覇。2012年には五輪と世界選手権を合わせ世界大会13連覇を達成し、国民栄誉賞を受賞した。今年1月に、33年間の現役生活に区切りをつけ引退。

 COTTON USA AWARD過去の受賞者


 「日本の高い技術によってつくられた綿の機能素材」も展示

 紡績9社(ユニチカトレーディング、東洋紡、シキボウ、ダイワボウノイ、クラボウ、富士紡ホールディングス、日清紡テキスタイル、龍田紡績、近藤紡績所)の各社にご協力いただき、今年も高機能綿素材の展示を実施しました。

 


  レ セ プ シ ョ ン
日米の綿業界の皆さんが親交を深め、和やかなムードに包まれた一日でした。
 
主催者挨拶をする藤田日本紡績協会会長