| 日本製の質の高さや強さが再確認されたPV この2月、2013春夏向けテキスタイル見本市、パリのプルミエール・ヴィジョン(PV)とミラノ・ウニカ(MU)が開催された。かつてない深刻な経済不安の中、来場者はPVが43,278人と前年同期比約4%減、MUが約18,000人で10%減だった。しかし海外からの来場は増えた。 日本からはPVに29社が出展し、日本人の来場も3%増。日本製の質の高さや強さが再確認された。またPVは次回9月展から新たに横編ニットの「ニットウェア・ソリューション」をスタートさせると発表。ファッション業界で20~30%のシェアをもつニットを傘下に入れることにより、ファッション素材のすべてをカバーする巨大見本市へ、さらなる進化を遂げようとしている。 「デザイン」のシーズン 今シーズン、キーワードとなったのは「デザイン」。糸や織編の構造からプリントなど表面の装飾まで、服になったときの形を想定したデザイン設計が行われ、新しいフォルムやタッチが生み出されている。 「私のクリエーションワークの95%は、テキスタイル」とミューチャ・プラダが語っているように、「ファッションは素材作りに始まり、素材に終わる」と言っても過言ではないほど、テキスタイルがファッションを決める時代になった。 これにはコンピュータ技術の進化・導入が深く関係している。リピートがないほど大きいパネルプリントやボーダー、グラデーション、オリガミのようなプリーツ加工や揺れ動く泡を思わせるふくれ加工、ホログラムなど従来になかった3D効果素材、ランダムな透かしやメッシュを入れたカット・ジャカードなど、綿密かつ大胆なテキスタイル表現はデジタル制御だからこそ可能なもの。これにより視覚や触覚など人間の五感に衝撃を与える斬新なテキスタイルデザインの世界が大きく広がった。 新しいファッション造形を創出するデザイン力、そのポイントをMUのスタイル委員長アンジェロ・ウズレンギ氏は、「異なったスタイルや伝統のブレンドにある」という。またPVでは、「自然/アートとサイエンス/テクノロジーの融合」としている。いずれも材質感+透明感、機能性+エレガンス、天然素材+合繊が巧みにハイブリッドされ、まばゆい光りにあふれた美しい色彩でデザインされる動きになっている。 主役は「コットン」 「心地よいナチュラル」を求める流れは依然として強く、コットンは今シーズンもファッション素材の主役の座を占めている。PVの人気素材ベストでも、ピュアコットンやコットン/シルク、コットン/麻、コットン/ストレッチが上位を独占している。 また「人工的自然」を演出する方向もますます顕著。コットンと合繊の区別がつきにくくなり、コットンも速乾・UVカットなど様々な機能加工が人気を集めている。合繊主体のメーカーも、あえて天然繊維、とくにコットンの質感を打ち出したり、ポリエステルにコットン混で麻のようなタッチの自然な風合いを出した素材を前面に押し出していたりする。 浮上する二つの素材感 一つは「きれい目、クリーン、フリュイド(流麗感)」な感覚。ファッションが全般に洗練されたエレガンスへ向かう中、コットンも目のつんだしっとりと光沢のあるシルキータイプのものが台頭している。高級細番手の超強撚糸使いで、フリュイド(流麗感)、つまりしなやかなドレープ性や落ち感のあるクレープや透けるボイル、トロミのあるハイゲージジャージーが伸びている。デニムタイプもソフトでクリーンなきれい目へ向かっている。 もう一つは「ドライなハリ・コシ、適度な硬さ」感。クチュール的な仕立てが求められていることから、かっちりと打ち込みのいいコンパクトな素材が多くなっている。厚みがあっても軽くしなやかで、しっかりしたハリ・コシのあるものが中心。しゃきっとドライな麻タッチやラフィアのような硬さを適度に追求したものも増えている。 ≪注目されるコットンファブリック≫ ますます脚光を浴びるコットン素材。2013春夏の注目トレンド素材をご紹介しよう。 ・光りと色の演出 ビタミンのようなオレンジや赤、グリーンといったカラーとともに、これまでの常識を破るように躍進しているのが蛍光色、光りを発するカラーである。また光りはシルキーなサテンの光沢から錆びたメタリック、キラめくゴールドのラメ入りデニムまで、あらゆる素材に様々な輝度で登場している。中でも人気を集めているのが、虹のような光りやパール、魚の鱗のような冷たい輝きのもの。 またマットなコットン地の上にのせた、透明に光るコーティングやラミネート加工、チンツ加工が非常に多くなっている。さらにプラスティックのような硬そうな表面感のものも出ている。見た目と手触り感が新しい興味を呼び起こしそう。 ・表情のあるプレーン 今シーズンはシンプルであることも焦点。そこでクローズアップされるのが無地調の表面感だ。また一見プレーンに見えて、さりげない特徴を表している素材、ピケやサテン、ハニカム、バスケット織などが多くなり、ジャカードよりもドビー組織のものが目立つ。スラブ・ネップなど意匠糸使いや、複合組織のものも。先染めはストライプを中心に、チェックは縦のラインを強調したものへ。またニットなのに布帛の顔をした丸編・経編がますます拡大している。 ・透け感の構築的レイヤード 軽やかな透明素材を重ね合わせ、下のファンシーな意匠を透かして見せるレイヤードが注目される。とくに繊細なレースやオープンワーク、レーザーカット、バーンアウト、エンブロイダリーなど意匠を凝らしたシースルー素材の上に、オーガンジーやシフォン、ガーセなどを重ねることで、よりファンシーなポエジー(詩情)を感じさせる透明感の演出が広がっている。 ・コットンクレープ シルキーなタッチが戻り、フリュイド(流麗感)なクレープやバックサテン、ボイル、超強燃ニットへの関心が高まっている。1930年代に流行ったバイヤスカットを現代風にアレンジしたファッション復活の影響も大きい。生き生きと流れるようなしなやかな布の動きがとにかく人気。 ・ヴィンテージ/プレッピー 着古し感を表現するユーズド・ルックは依然として継続中。ワッシャー仕上げやブリーチアウト、ピグメント(顔料)の褪色、白抜き、シワ加工など。とくにプレッピー・カジュアルを意識した、パステルカラーのデニムやシャンブレー、オックスフォード、サッカーチェックなど、これまでより垢ぬけたクリーンな印象のものが多くなっている。 ・モダンアートのようなデジタルプリント 植物園にあるような花や葉をモチーフにしたモダンアートのような抽象柄が目立つ。花のようでリアルな花柄ではないところが目新しい。カレイドスコープ(万華鏡)で見たような数学的な大柄ジオメトリック(幾何学的な)も目につく。ハレーションを起こしそうなマルチカラーのポップアートやサイケデリック調グラフィック、逆にシックに抑えたパッチワーク風のアニマル柄なども。 |